日立おおみか病院の緩和ケアへの取り組み

がん治療は、手術や化学療法などを通じて、完治を目指すものの、終末期を迎えることも多くあります。当初から一貫した治療方針を行い、終末期においても、同じ病院で、同じ主治医のもと、最期を迎えることができれば、患者家族も、納得して患者様の看取りを行うことができるかもしれません。

しかしながら、厚労行政における病院の機能分化の推進は、手術を行う高度急性期病院において、患者を長期間、入院させておくことがより困難になってきています。がんの根治治療が困難となり、緩和医療の段階に入った患者様が、転院をせざるを得ない場合、十分な緩和ケアを受けることのできる環境を提供することを目的に、当院では、質の高い緩和ケア医療を立ち上げます。

当院では、患者様が満足する緩和ケアのために、特に次の2点に注意を払っていきます。

①転院前の病院における医療説明内容を踏まえ、患者様の望む医療について十分な説明を行います。

②積極的な疼痛緩和ケアを行い、痛みや苦しみを最小限にとどめることへ注力をします。

日立おおみか病院は、緩和ケアを通じてがん治療支援の役割を担っていきたいと考えています。

DNARの意思確認と当院の医療処置について

DNAR:do not attempt resuscitate = 心肺蘇生を行わないこと

がんの緩和ケアにおいては、患者様、あるいは患者様家族に対して病院側からDNAR(心肺蘇生を行わないこと)の意思確認をすることが、一般的に多く見受けられます。この同意を求める行為自体が、患者様あるいは患者様家族へ心理的負担をかける行為であるとの意見もある反面、本当に最期の時に心肺蘇生措置を試み、効果なく患者の体への負担をかけるようなことを避けるという側面もあります。このような議論を踏まえたうえで、当院では、DNAR(心肺蘇生を行わないこと)の意思確認を行っています

ここで重要なことですが、時々、DNARという言葉が独り歩きをして、勝手な解釈で、DNAR=何も処置を行わないことであると、みなされることがあります。しかしながら、当院ではそのように考えることはありません。緩和ケアの中では、一時的に全身の栄養状態が悪化することがあり、腹水の処理や、輸液による適切量の栄養の注入などで、回復することも頻繁にあります。当院では、医師がその状態を適切に判断し、必要に応じて医療処置を行うことに努めます。そして最期の時において、人工呼吸器等での心肺蘇生を行わないということのみが、DNARが意味するところとなります。